仕事を辞めたいのは甘え？辞めるべきかどうかの判断基準を解説

本記事をご覧になってる方に最初に伝えたいことがあります。それは、誰に「仕事を辞めることが甘え」と思われても、「仕事を辞めてはいけないわけではない」ということです。

「甘え」というのはあくまで他人の評価であり、「仕事を辞めるかどうか？」とは切り離して考える必要があります。他人の評価は絶対ではありません。

確かに「仕事を辞めたい」と言うと、「甘えだ」と批判する声は多いです。「できる仕事を途中で何も言わず放り出した」とか単純に「仕事が面倒だから辞めたい」といったような理由の場合は、特にそう思われても仕方ないでしょう。

しかし、甘えであっても、自分の今後の人生が仕事を辞めることによって好転することもあります。当然、後悔することもあります。要は、甘えかどうかは仕事を辞めるかどうか判断する際に絶対的な基準にはならないということです（参考にはなるでしょう）。

もちろん、あまりに身勝手な退職理由だと、その後の人生で後悔する可能性が高いというのは事実です。

なので、この記事では、比較的甘えだと評価されやすい退職理由について紹介し、今の仕事を辞めるべきかどうかの判断基準について詳しく解説します。

なぜ仕事を辞めることが「甘え」と言われるのか？

結論としては、仕事を辞めることは、周りからは自分勝手に見えるため「甘え」だと言われてしまうのです。

そのため、「甘え」は自己中心的で責任を回避するような行動や態度に対して使われることが多いです。つまり、仕事を辞めることは組織全体のことを考えずに自分勝手な決断だととらえられてしまうため、「甘え」という評価につながってしまうということです。

「甘えかどうか？」で「退職すべきかどうか？」を決めるべきではない

冒頭でもお伝えした通り、甘えかどうかは仕事を辞めるかどうかの絶対的な判断基準にはなりません。

「甘え」というのはあくまで他人の評価

「甘え」というのは所詮、他人の評価です。「甘えかどうか」で「退職すべきかどうか」を決めることは、他人の評価で自分の今後の人生を決めるということに他なりません。

もし「甘えだから辞めると後悔する」と思い込み、今の仕事を我慢した結果、からだを壊してしまえば、それが本当に自分のためと言えるのでしょうか？たとえ甘えだと思われても、辞めた方が良い場合も当然あります。

仕事を辞めるのは自由

そもそも日本では憲法で「職業選択の自由」が認められています。終身雇用制度を採用しない会社も増えて、以前より転職も当たり前の時代にもなっていますよね。

このような時代背景がある中で「仕事を辞める＝甘え」と周りが評価するのも、少し時代錯誤な気がします。会社側も従業員が辞めても極力困らないような環境整備をする必要があります。

仕事を辞めるべきかどうかを理由別に解説

仕事を辞めるのは自由ですが、辞めない方が良い場合も当然あります。「甘えかどうか？」を気にする必要はありませんが、あまりに自分勝手な退職理由だと、自分にとってマイナスな結果になる可能性も高くなるでしょう。

以下では、退職したい理由別に、

• その理由が辞めたい理由として妥当性があるのか？
• その理由では辞めない方が良いのか？

といった点について解説します。

仕事が面倒くさいという理由で辞める

単に仕事が面倒くさいという理由は、仕事への認識が甘い可能性が高いです。次の仕事も同じように面倒くさいと感じる可能性が高く、辞めることによって無駄にキャリアを傷つけることになるかもしれません。

もちろん、「自分が興味をもって主体的にできる仕事」とか「してて楽しい仕事」が理想ですが、仕事は面倒くさい（大変、厄介、誰もやりたがらない）からこそ、その対価としての給料をもらえるという側面がどうしてもあります。

職場の人間関係が嫌だという理由で辞める

後ろ向きな理由ですが、会社を辞めたい理由としては多いものの一つですよね。

人は考え方も価値観も様々です。なので会社とか組織で仕事を続けていくためには、多少相性が合わない人でも関わる場面に遭遇します。現職を辞めて別の仕事を始めたとしても、結局、また同じ人間関係で悩んでしまったら転職するだけ損ですよね。

ただし、人間関係が原因でメンタル面で病気を抱えてしまう人がいるのも事実です。病気とまでは行かなくても、人間関係が原因でベストなパフォーマンスができなくなってしまうこともあります。その仕事自体は本人にとって向いている場合は本当にもったいないですよね。

なので、基本的に人間関係が理由の場合はすぐに転職に踏み切らず、最初は異動を相談したり、仕事に出るのがきついなら休職を考えてみてください。それでも、根本的な解決にならないと判断した場合、最終手段として現職を辞めることをおすすめします。

他にやりたい仕事が見つかったからという理由で辞める

新しい仕事が自身の興味や関心に合致している場合、その仕事に対する情熱やモチベーションが高まりパフォーマンスも向上しやすくなります。

ただし、次の仕事の認識が間違っていると、実際に転職した後に「思っていたのと違う」ということになる可能性も当然あります。なので、ネット等での企業のリサーチはもちろん、面接の際などに自分の認識が間違いないかを配属先の面接官にしっかり質問をとおして確かめておく必要があります。

厳しいノルマがあるからついていけないという理由で辞める

仕事のノルマが厳しいと、ストレスが増え、心身の健康に悪影響を与えることがあります。また、過度なプレッシャーや高すぎる目標だと、仕事に対するモチベーションも低下し、キャリアにとってもマイナスになってしまうかもしれません。自分にとって無理のない範囲で仕事を続けることが大切です。

ただし、辞める前に職場での対応策を検討することも重要です。たとえば、上司に相談してノルマの見直しをお願いしたり、職場のサポートを受けることで解決できることもあります。

労働環境に不満を持っているからという理由で辞める

労働環境に不満を持っているからという理由で仕事を辞めるのは、正当な理由の一つです。労働環境は仕事や生活の質に大きな影響を与える要素であり、不満がある場合、長期的に続けることが難しくなることがあります。

たとえば、職場の雰囲気が悪い、オフィスの設備や働く環境が整っていない、長時間労働が常態化しているなど、さまざまな事例がありますが、こうした不満が積み重なると、仕事に対する意欲が低下し、ストレスや疲労が蓄積されることもあります。

労働環境に不満がある場合、まずは改善の余地があるかどうかを考えることが大切です。たとえば、上司や人事部に相談し、環境の改善を図ることを考えましょう。それでも改善が見込めない場合は、転職を検討するのも合理的な選択肢です。転職によって、より自分に合った職場環境を見つけることで、仕事のパフォーマンスや生活の質が向上する可能性があります。

甘えだと思われること自体が嫌な場合

本記事を読んでいる方の中には、「甘えだと思われること自体が嫌」という人もいるでしょう。そのような方は、退職希望の意思を伝える前に、下記のことをやってください。

①仕事を辞めたい理由を明確にする

理由があいまいだと「何となく大変だから辞めたんだな」と思われてしまう可能性があります。

まずは、自分がなぜ辞めたいのかをはっきりさせましょう。理由があいまいになっている状態で退職の意思を伝えると、なぜ退職したいのかが伝わらず「何となく大変だから辞めたんだな」と思われ、上司によってはそれこそ「甘え」と評価し退職を認めてくれない場合もあります。

また、理由が明確にしておけば、それが次の仕事を探す指針となり、転職や今後の進路で失敗しにくくなります。

必ず、退職の意思を伝える前に辞めたい理由を明確にしておくことが大事です。

②仕事を辞めたら悩みや不安が解消するのかよく考える

退職じゃなくても解消できる悩みだと「甘え」だと思われてしまう可能性が高いです。

仕事を辞めることで、今抱えている悩みや不安が解消するのかを考えることも大事です。

誰もが働き方を含め人生をよりよくする権利があります。現状に不満がある場合、仕事を辞めることによってその不満が解消したなら、それは自分の意思で理想の人生に近づいたということです。自信を持っていいことです。

しかし、理由によっては「それって退職じゃなくても解消できたんじゃない？」と思われる場合もあります。そのような場合に「甘えだ」と思われることがあるでしょう。

なので、基本的には退職の意思表示をする前に、別の手段で今の不満が解消できそうなら、それを試してから退職の意思を伝えた方が、説得力が増して甘えだと思われにくいでしょう。

③キャリアの目標を再確認する

短期的な理由だけだと「目の前のことだけを考えて辞めた」と思われてしまう可能性が高いです。

今後のキャリアプランや目標を確認し、もし決まっていない場合は明確にしておくことも重要です。

ここでのポイントは「より長期的な視点に立って決める」ということです。長期的な視点が抜け落ちると、「目の前のことだけ考えて仕事から逃げた」と思われる可能性があるからです。

未来をしっかり見据えて目標を明確にしておけば、退職の意思表示をする際もより長期的な視点から退職の思いを伝えられるはずです。

甘えだという理由で退職を引き止められた際の対処法

仮に本当に「甘え」だったとしても、会社側はそれだけの理由で退職を拒否することはできません。しかし、退職に同意がもらえないと、辞める側からしてもモヤモヤが残って嫌ですよね。もし、退職後も今の会社の人との関わる可能性があるならなおさらかと思います。

下記では、「甘え」と言われ退職を認めてくれない場合の対処法について説明します。

理由を再確認して冷静に伝える

まず、自分がなぜ退職を決意したのか、その理由を冷静に伝えましょう。例えば、キャリアの方向性が違う、健康やプライベートの事情など、具体的な理由を説明することで、感情的な判断ではないことを示してください。冷静に伝えることがポイントです。

長期的な視点での意志を強調する

「甘え」と見なされるのは、短期的な感情に基づいた決定と判断された場合が多いです。そのため、自分のキャリアや人生の長期的な目標を話し、そのための決断であることを強調します。これにより、自分の意思がしっかりしたものであることを伝えることができます。

退職理由に関する誠実さを保つ

退職理由については、誠実でありつつも、個人的な感情に依存しすぎないように注意しましょう。例えば、「自分の成長のため」や「新しい挑戦が必要だから」といった前向きな理由を伝えることで、感情的な判断ではなく、理性的な決定であることを示せます。

「甘え」との誤解を解くためのコミュニケーション

もし、「甘え」と見なされることが不安であれば、その場で誤解を解くための対話を試みることも有効です。相手の意見に耳を傾けつつ、自分の考えをしっかりと説明し、相互理解を図るように努めます。

決断に自信を持つ

最終的には、自分の決断に自信を持つことが重要です。他人の意見に流されることなく、自分の考えに基づいて行動することで、自分の意思の固さを示すことができます。

仕事を辞めるなら円満退職を目指そう

退職は新しいスタートです。円満に退職することで、次の職場でも良いスタートを切ることができます。以下の3つのステップを踏んで、円満退職を目指しましょう。

1. 退職理由を明確に伝える
   上司に対して、退職の理由を率直に伝えましょう。感情的にならずに、冷静に話すことが大切です。
2. 退職のタイミングを考える
   企業にとっても迷惑をかけないよう、退職のタイミングをよく考えましょう。引継ぎ期間を考慮することも重要です。
3. 感謝の気持ちを伝える
   これまでお世話になった企業や同僚に対して、感謝の気持ちを伝えましょう。円満な関係を保つことが大切です。

この記事を参考に、自分のキャリアについて考え、次のステップに進むための一助となれば幸いです。どんな選択をするにせよ、自分の人生を大切にし、納得のいく決断をすることが大切です。