【元地方公務員が語る】公務員からの転職は普通に可能!おすすめの転職先なども紹介します!

民間企業に転職したいけど、職務経歴書に書けるようなスキルがない

こんな気持ちを抱いている公務員の方は結構多いのではないでしょうか?

実際、民間企業への転職でアピールできるような公務員のスキルってあまりないですよね。私も前は自治体職員だったので、この気持ちはよく分かります。公務員は市場価値がつきにくいと言われているため、転職は不利になるっていうのは有名な話です。

しかし、最近は以前に比べて、公務員から転職する人が増えています。

私は自治体職員を辞めた後、民間企業の経理職へ転職しました。当初は経歴書に書けるようなスキルもなければ、別に頭が良いとかってわけでもありませんでした。それでも、3カ月間くらい転職活動をして数社から転職前よりも良い労働条件で内定をもらうことができました。

本記事では、公務員からの転職を考える人向けに、転職が難しいと言われる理由や、おすすめの転職先なども紹介します。

本記事における「地方公務員」とは、主に市役所や県庁を想定してます(教師、警察、消防等は含みません)

目次

公務員からの転職について

公務員からの転職はなぜ難しいと言われるのか?

公務員からの転職が難しいと言われる理由はいくつかありますが、以下にパターン別にまとめました。

転職パターン難しいと言われる理由
国家公務員
→地方公務員
・再度、試験に合格する必要がある
・民間企業に比べて転職先の選択肢が少なく倍率が高い
縁もゆかりもない地域の場合、面接でつっこまれる
地方公務員
→国家公務員
・再度、試験に合格する必要があり、筆記試験の内容は自治体よりも難しい
・民間企業に比べて転職先の選択肢が少なく倍率が高い
公務員
→民間企業
・働き方が根本的に違う
・必ず未経験転職になる

中でも、特に地方公務員から民間企業への転職は難しいと言われています。その理由は、地方自治体職員の働き方はゼネラリスト、つまり「何でも屋」である一方、民間企業は何でも屋ではないからです。

民間企業の場合、「業種」や「職種」によって、程度に差はあれ、仕事が専門的になります。なので、この「何でも屋」の働き方は、民間企業の働き方と最も大きく異なり、即戦力にならないと判断されやすく、転職で不利になってしまうというわけです。

それでは公務員からの転職は厳しいのか?

上のような理由から、公務員からの転職は、一般的には難しいと言われています。しかし公務員からの転職者は以前と比べて増えているのも事実です。実際に転職した私の感覚からすれば、転職がそこまで難しいとは思いません。「可能かどうか?」という問いに答えるなら、普通に可能です。

ただし、当然、年齢や求める労働条件によっても転職の難易度は変わってきます。公務員からの転職を視野に入れるのであれば、とにかく早いに越したことはないでしょう。

以前に比べて転職のハードル自体が下がっている!

公務員からの転職に限った話ではありませんが、最近はインターネットが普及して、転職者のためのサービスを利用できる環境が整ってますよね。以前に比べて転職のハードルが下がっているというのも、転職しやすい要因の一つになっていると思います。

私の場合は、地方から都市への転職でしたが、一次面接をほとんどの企業がリモートで行ってくれたため、時間的な面でも以前に比べ大幅に転職しやすい環境が整ってきていると思います。

採用担当者の公務員のイメージも転職難易度に影響する

公務員からの転職を考える場合、転職先の採用担当者が公務員にどのようなイメージを持っているかを知ることは非常に重要です。

一般的な公務員のイメージ

  • 安定志向:公務員を目指す人は一般的に安定志向の人が多い
  • 組織主義:組織内のルールや規定に忠実
  • 学習能力が高い:公務員試験を合格しているという実績
  • 非競争的:利益追求ではなく、手続き重視の働き方をしている

これらのイメージをどのように評価するかは会社によって異なります。勉強が必要な仕事は学習能力の高さを評価してくれるかもしれませんし、公務員は基本的に規模が大きい組織の属するため、組織での立ち振る舞いができると評価する採用担当者もいるかもしれません。

もちろん、あくまでイメージです。当てはまらない公務員もいるでしょう。しかし、採用担当者も人間です。イメージを採用の材料する可能性も十分あるでしょう。

公務員から転職することのメリットとデメリット(パターン別)

公務員から転職することの主なメリットとデメリットは下の表のとおりです。

転職パターンメリットデメリット
国家公務員
→地方公務員
・引越しの伴う転勤が減る
(というかほぼ皆無)
・幅広い分野の仕事に着手できる
・転職直後の年収はほぼ確実に下がる
・仕事に専門性を求める人にはあわない
地方公務員
→国家公務員
・スペシャリスト的な働き方ができる
・より規模の大きい仕事ができる
・省庁に行けば、法令に着手できる
・転職直後の年収はほぼ確実に下がる
・引越しの伴う転勤がある
・専門性が高いため、勉強が嫌な人は苦痛
公務員
→民間企業
・広い選択肢の中から仕事を選べる
・年収のアップが期待できる
・キャリア形成の柔軟性が高まる
・転職直後の年収が下がる可能性もある
・社会的な信用が下がる可能性が高い
・転職先次第で引越しの伴う転勤がある

国家公務員から地方公務員に転職する場合

国家公務員から地方公務員に転職する場合、引越しの伴う転勤から解放されるのは大きなメリットです。実際、私の周りにも転勤がネックで地方公務員への転職を検討している人が多いです。

一方で、地方公務員は国家公務員よりも広く浅く業務をすることになるため、専門的に仕事がしたい人にとっては大きなデメリットになります。元地方公務員の私の感覚では、地方公務員の部署異動は未経験業界への転職のようなものだと思います。

地方公務員から国家公務員に転職する場合

地方公務員から国家公務員に転職する場合、分野を絞って仕事がしたい人のとっては大きなメリットです。地方公務員は基本的に「市役所」や「県庁」での採用のため、土木、健康福祉、環境、観光等、異動を繰り返して幅広い分野で仕事をしますが、国家公務員の場合は、採用が「法務省(局)」や「国税庁(局)」となるため、自分が興味のある分野を絞ってそこをつきつめて仕事ができるようになります。

ただし、地方ブロック管轄や全国での管轄が仕事の範囲となるため、引越しの伴う転勤があるという意味では、地方公務員から国家公務員の転職はデメリットがあると感じる人が多いと思います。

公務員から民間企業に転職する場合


公務員から民間企業に転職するメリットは、自分の理想とする働き方に近い職場や、求める労働条件が整備された会社を、より広い選択肢の中からみつけることができるというところです。

仕事に対する希望は、人によって様々ですよね。

例えば...
  • 給料はそこそこでいいけどワークライフバランスは良くしたい
  • プライベートは犠牲にしてでもたくさん稼ぎたい
  • 将来のキャリアアップを見すえて市場価値の仕事がやりたい
  • 自分の好きなメーカーで働きたい

上のような仕事に対する希望は、公務員だと自分で柔軟に選ぶのは難しいです。なぜなら、公務員の仕事は給与体系は法令で決まっている上、基本的に社会に必要だけど、民間企業では採算がとれないような仕事をしているため、おのずと労働条件や働き方が決まってきてしまうからです。

一方で、民間企業の場合、公務員のような給与体系の場所もあれば、若い間から大幅に昇給できるような会社もたくさんあります。仕事の内容も、公務員の場合はほとんどが調整業務や事務作業ですが、民間企業の場合はモノを開発したり、運転したり、コンサルだったりとたくさんありますよね。

ただし、選択肢が多いということは、転職先選びに失敗するリスクも高いということです。自分の希望に近づけるどころか、むしろ「公務員の方がまだよかった」となる可能性もゼロではありません。なので、民間企業に転職する場合は、自己分析や企業リサーチがとても重要になってきます。

公務員から民間企業への転職におすすめの仕事

仮に無事内定をもらい、転職できたとしても、「全くゼロからスタート」ってなるとやっぱりきついものがあると思います。なので、なるべく「転職前の知識や経験が活かせるかどうか?」という観点で、おすすめの仕事を以下にまとめました。

公務員での仕事民間企業への転職におすすめの仕事
①市民対応営業、カウンセラー
②法令実務・運用企業の法務・経理
③人事関連の仕事企業の人事・労務、人材コンサルタント
④情報部門の仕事ITコンサルタントやソフトウェア開発
⑤政策立案公共政策コンサルタント、社会・市場調査
⑥民間企業との折衝自治体や官公庁を得意先としている会社
⑦その他営業、IT業界、各種コンサルタント

あくまで「おすすめ」なので、これに当てはまらないからといって、転職が難しいと言っているわけではありません。もし、すでに「この業界に行きたい」とか「この職種でキャリアアップしていきたい」という気持ちがあれば、それを最優先してくださいね。

①市民対応が多い人

市民対応が多い人は、営業やカウンセラーがおすすめです。

窓口業務や市民対応の経験がある方は、営業職やカウンセラーといった職種で、高いコミュニケーション能力や人間関係構築のスキルが活かせるため、新たな職場での顧客対応やクライアントサービスに貢献できます。

基本的に、自治体や省庁の行政職経験者は、多くの関係機関の調整業務が多いので、コミュニケーション能力はかなり鍛えられています。そのため、市民対応以外でも多くの人と一緒に仕事をしていた人もこれらの職種で公務員の経験が活かせると思います。

②法令実務・運用経験者

法令実務・運用経験者は、企業の法務・経理がおすすめです。

法務・経理は、法律をはじめ、膨大な資料を取り扱い、企業を専門的な知見からサポートする役割を担っています。

公務員の資料を解釈する力、迅速に日々のタスクを処理する力、他部門との調整力は、企業の法務・経理部門でも活かすことができます。

私は公務員時代に法律に基づく取締り業務の経験があったため、法体系、解釈方法等はある程度理解していました。経理へ転職後も、かなり多くの法律を扱うため、公務員時代の経験がかなり役に立っています。

③人事関連の仕事の経験者

人事関連の仕事の経験がある人は、企業の人事・労務や人材コンサルタントがおすすめです。

公務員も民間企業も「人」の組織であり、人事の仕事は職員や社員のデリケートな事情も扱います。加えて、採用、評価、労務管理、給与・福利厚生などの人事全般で公務員時代の経験を活かしやすいでしょう。

また、人材コンサルティング会社では、人事実務の経験を生かして企業の採用や人材開発に携わることができます。人材評価や採用戦略の立案、研修プログラムの企画など、幅広い人材関連業務に携わることができます。

④情報部門の仕事の経験者

情報部門の仕事の経験者は企業のITコンサルタントやソフトウェア開発がおすすめです。

行政機関の情報部門を経験すると、システムの導入や運用、セキュリティ管理など、豊富な知識と経験が身につきます。この知識と経験は、企業のIT戦略やシステム改善に貢献するITコンサルタントで活かすことができます。

また、公的機関独特のセキュリティが必要なシステムなどもあり、そのような事情に精通しているという意味で、公的機関向けのソフトウェア開発を行っている会社から重宝される場合もあります。

⑤政策立案の仕事の経験者

政策立案の仕事の経験者は公共政策コンサルタント、社会・市場調査がおすすめです。

公共政策コンサルティング会社では、省庁での政策立案経験を活かして、企業や団体の政策立案や行政改革に関わる仕事に携わることができます。社会的な課題解決や政策提言などに貢献する役割を果たすことができます。

また、政策立案経験を通して身についている「データに基づく分析力」や「市場のトレンド把握力」を、社会や市場の調査をする会社でそのまま活かすことができます。

社会の声や市場の動向を把握し、それに基づいた具体的な政策提言や施策の立案ができるでしょう。

日本の代表的な市場調査を行っている会社だと、「マクロミル」や「クロス・マーケティング」が有名です。

⑥民間企業との折衝経験者

民間企業との取引先折衝の仕事をしていた方は、自治体や官公庁を得意先としている会社がおすすめです。

この経験がある人は、民間企業にいってから得意先(お客様)が自治体や官公庁の場合うまく立ち回ることに関して、必ず公務員時代の経験が役に立ちます。

自治体や官公庁といった行政組織は民間企業とは違い、「利益追求」を第一目的とはしていません。なので

もちろん、税金で運営しているため、ある程度コスパも気にしますが、先方がどれだけ「行政のことを理解しているか」といった点も、取引先を決める上で重要視します。民間企業よりも合理的に動けないことが結構あります。

⑦その他の仕事

その他、地方自治体や国家公務員からの転職では、事務職、営業、IT業界がおすすめです。

基本的に地方自治体や国家公務員の仕事はデスクワークでパソコンの文書作成ソフト(ワード、エクセル、パワポ)の使用経験があるため、事務職で採用してくれるところもたくさんあります。

私は、上の3つのソフト使えるのって当たり前じゃない?と思ってましたが、意外と世の中を見渡すと使いこなせない人も多いみたいです。

また、営業やIT業界は求人が多いです。なので一からキャリアを形成したい人にとっては選択肢が多く、個人にあった転職先を見つけやすいという意味で紹介しました。営業職は年収が高いところも多いため、年収を改善したい人にとっても検討の価値はあると思います!

【最後に】公務員からの転職で後悔しないために

本記事では、公務員の転職のハードルについて主に解説しましたが、仮に転職できても、後悔するような結果になってしまったら意味がありませんよね。

公務員は民間企業と比べて職場の数が少なく、仕事は法令に基づいている側面が強いため文化や環境、働き方は結構どこも似通っています。しかし、民間企業の場合は数が多く、本当にいろんな仕事があるので、しっかり自己分析して、自分にあった職場を探す必要があります。

新卒で公務員になった方にとっては、「地元だから」とか「規模が大きい仕事がしたいから」、「安定しているから」など、漠然とした理由で目指した方も多いのではないでしょうか。私もそうでしたからね。

なので、もし今の公務員の仕事から別の仕事への転職を考えている場合は、しっかり自己分析と企業リサーチを行って、よりベストな転職を実現させてください。

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