経理1年目の私が感じている経理のつらさを紹介します
私は元県庁職員で今は民間企業の経理部で働いています。
転職1年目の今、前の職場にはなかった経理独特のつらさを感じています。
誤解が無いように言っておくと、経理への転職を後悔しているわけではありません。
さて、経理を目指している方は、経理にどのような印象を持っているでしょうか?個人的には、転職してみて、まあ、おおよそ思った通りだったと思っています。
が、やっぱり実際に働いてみると、覚悟はしていたものの、「つらいなあ」と感じることが多々あります。なので、このつらさをリアルタイムでお届けできればと思い、本記事を書きました。
本記事は、転職で経理を目指しているという人だけではなく、新卒で経理に配属されたいと考えている人にとっても参考になると思うので、経理で働きたいと思う人は、是非、読んでみてください。
私が県庁から経理へ転職した理由は以下に詳しくまとめてあるので、気になる方は読んでみてくださいね。
経理の1年目は大変だとよく言われる
経理の仕事は1年目が最も大変だとよく言われます。
実際に経理の仕事をしてみて分かったのですが、その理由は「仕事が専門的である」に尽きると思います。もし簿記の知識もない状態で経理の実務をすれば、自分が何をやっているのかさっぱり分からないと思います。
私の場合は、もともと簿記の知識はありましたが、会社のビジネスモデルや、会社特有の事情を知らないと、実務はやっぱり難しいです。
もちろん、先輩、上司も仕事のやり方を教えてくれますが、言っていることの単語の意味が分からなくて、仕事をしっかり覚えている実感がわかないということもあります。
また、何を言っているのかが分からないということは、質問も当然うまくできません。
慣れないうちは、「点と点を結びつける」というより「ひたすら点を覚える」といったイメージで仕事をすることになると思います。
転職1年目の私が感じている経理のつらさ
主なものは次のとおりです。
- 覚えることが多く、この先大丈夫か不安
- 先輩・上司と自分の前提が違いすぎる
- 属人化しすぎていると感じる
- 実務のプロセス一つ一つを意識する必要がある
- 他部門に嫌なお願いをすることもたびたびある
覚えることが多く、この先大丈夫か不安
経理に転職する前は覚悟していましたが、やっぱり覚えることが多いです。
法律や会計知識もそうですが、経理で使用しているシステムの仕組みや会社独特の会計処理など、実際に仕事をやってみないと分からないことだらけです。
また、経理は会社の業績や財政状態に関することを数値化する仕事ですが、会社のビジネスモデルや現場の実情を知っておかないと、その数字の意味を説明することができません。
なので、常に他部門の動きにアンテナを張っておく必要があるというわけですが、そもそも経理部の仕事すら分からない状態で他部門の動きにアンテナを張るのは至難の業です。
もちろん、他部門の動きを把握することまで、1年目の今求められているわけではないですが、今後のことを考えるとその必要性をひしひしと感じています。
今は先輩に教えてもらいながらやっているので、何とかなっていますが、独り立ちしないといけないときのことを考えると、ゾッとしますね。
先輩・上司と自分の前提が違いすぎる
経理の仕事の大部分は、必ずルールに従って処理をします。しかし、そのルールを知っておかないと、例えば、次のような疑問を抱くことになります。
なぜ○○の手順を踏む必要があるのか?
この問いに対する先輩や上司の答えが「法律や会計基準に対応するためにこの手順を踏む必要がある」という答えなら、特段すんなり受け入れらえます。
しかし、問題なのは「取引先とのやりとりの関係」とか「会社のシステムの仕様上、こうするしかない」という答えの場合です。これらのような会社特有の事情は、ある程度、会社での経験を積まないと分からないような事情ですよね。
1年目なので、疑問に思えばすぐに聞けますが、2年目、3年目になったときに、果たして自分がどこまでこのような「会社特有の事情」を知ることができ、きちんとそれを踏まえて実務ができるようになるか不安になる時があります。
属人化しすぎていると感じる
これは県庁から転職したからこそ強く感じるのですが、仕事がかなり属人化していると感じています。
例えば、ある特定の取引について、他部署の報告を求めずに、経理の担当者で関係のありそうな決裁をピックアップし、それを確認して管理してしまっているというものがあります。その取引があるかないかで当然、経理数値は変わってきます。
確かに決裁をみれば、他部署の取引も確認することができます。しかし、本来ならその部署から経理に、経理数値の変動に関わる取引の有無や詳細を報告させるのがセオリーのはずです。
会社の決裁をすべて経理で確認しようとすると日が暮れてしまいます。そのため、関係あるものをピックアップして確認する必要がありますが、入社1年目で、どれが関係あるかなんてピックアップできるはずもありません。
だからと言って、今から他部署に報告を求めるのも、「担当が変わった瞬間に負担を増やされた」と思われてもやりずらいので、正直、どうしようもできない状態です。
実務のプロセス一つ一つを意識する必要がある
県庁で働いていた時は、「エクセルでこの操作をして、ここでソートをかけて….」のような実務のプロセスを細かく意識することはありませんでした。基本的にミスがなければ、どのようなプロセスでも問題ないからですね。
しかし、経理の場合は、この自分がどのように数字を出したかを、ある程度覚えておく必要があります。なぜなら、会計監査があるからです。
例えば、会計士に「この数字はどうやって出したのか?」と聞かれた際に、結構、システムの操作レベルで詰められることがあります。自分がその数字にたどり着いた工程を説明できないと、会計士に悪い印象を与えてしまいます。
なので、日ごろから、自分が数字を出すときはどうやっているかを常に意識して実務をこなすわけですが、「そもそもこの数字はどこから持ってきた?」といったことに意識を奪われているため、1年目の私からすると、結構大変です。
他部門に嫌なお願いをすることもたびたびある
経理は他部門以上に法令、コンプライアンス、内部統制など守らなければならないルールが実務上多いです。
しかし、当然経理は間接部門なので、他部門に法律順守のために動いてもらわないといけないことも多くあります(締め切りまでに請求書を送ってほしい等)。
実際、他部門では、「なぜ締め切りまでに出す必要があるのか」、「なぜこの書類に○○を記載しないといけないのか」等、実務の目的がどうしても見えにくく、経理の指示をけむたく思う人も必ずいます。
なので、経理は説明して人を動かす力も求められますが、これがなかなか難しいです。
経理部にはどんな人が多いか
「経理だから○○」みたいに決めつけるつもりはありませんが、経理部は「言わないといけない時はハッキリ指摘する人」が多いと思います。
例えば、営業マンは得意先との関係もあって、基本は下手に出てしまう傾向があると思います(もちろん、理不尽な要求に対して毅然とした態度をとれる営業マンもいるとは思いますが…)
しかし、経理はいつでも下手に出て良いというわけではありません。経理も会社の一員なので、営業と同じく利益追求という目的は一致していますが、法律に抵触しないかの確認や、長期的に自分たちの会社にメリットがあるのかを他部門以上に正確に見極めなければなりません。
経理は会社を守っている門番のような存在です。言われるがままにしてはいけないような状況では、きついことも言わないといけないような立場にあるため、結果的に、ハッキリ言う人が多いような気がします。
勉強が嫌なら経理はやめた方が良い
経理の仕事を考えている人は、「経理は勉強の毎日である」ということを肝に銘じてください。
特に正社員での経理を考えている場合、勉強が嫌なら、絶対経理はやめた方が良いです。仕事の半分以上は勉強だと思った方がいいでしょう。
経理の仕事は繁忙期と閑散期の差が激しいですが、基本閑散期は次の決算に向けて準備をしたり、自分に不足している知識の勉強をしている人が多いです。
私もまだ1年目なので、勉強しなくても何とかやっていける可能性もあるかもしれませんが、おそらく知識レベルに差が出て、同じ経理社員どうしでもうまくコミュニケーションが取れなくなるような気がします。
逆に言えば、勉強することが苦でない人にとっては、経理で働く上でのストレスは他の職種にくらべて少ないと思います。
経理の仕事は分かれば本当に面白い
いろいろと経理のつらいところを紹介してきましたが、その分、自分が何をやっているか分かってきたときや、ある程度仕事に慣れていくと、面白いと感じる部分も本当に多いです。
どのような仕事であれ、つらい場面は必ずありますが、それを帳消しにしてくれる何かを見いだせれば、仕事にやりがいを強く感じれるし、長続きします。
私もまだ道半ばですが、1年目で経理の仕事が面白いと思った瞬間も結構あるので、この最初の1年をぐっとこらえて頑張ってみようと思います。
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