【地方公務員と民間企業の両方を経験して感じたこと】地方公務員か民間企業かで迷った時の選び方の基準を解説します!

やりたいことがないからといって公務員になろうとしていませんか?

安定しているからといって公務員になろうとしていませんか?

私はこのような基準で地方公務員を選び失敗しました。まだ学生の方はイメージしにくいかもしれませんが、就職すると仕事の毎日です。仕事が今後の長い人生に大きく影響するということはイメージできますよね。

自分にあわない仕事だったら地獄の日々の始まりです。どうせなら最初の仕事選び失敗したくないですよね。

本記事では、地方公務員か民間企業かで迷った人が、どのような基準で選ぶべきかを私自身の経験をもとに具体的に紹介します。

私は地方公務員の行政職と民間企業の経理職の経験者です。本記事では、私の経験に基づいて紹介しますので、公務員でも「地方公務員」に限定して説明します。

目次

地方公務員と民間企業を選ぶときに迷ってしまう理由

地方公務員と民間企業のどちらに就職するかを考えるときに、多くの人が直面する「迷ってしまう理由」があります。最初にこの理由をおさえておきましょう。

民間企業の選択肢の多さから生じる迷い

民間企業って本当にたくさんありますよね。多くの択肢の中から、自己分析、企業調査を通じて就職先を一つにしぼるのって冷静に考えたらとても骨が折れる作業だと思います。

というか、真面目に決めたところで、本当にその就職先がベストかどうかなんて、ほとんどの人は分からないですよね。

しかし、最後には一つにしぼる必要があります。なので、その就職先がベストだったかどうか分からないまま、就職先を決めてしまう人も多いのではないでしょうか。

一方で地方公務員の場合は、自治体によって組織構造や働き方が大きく変わりません。なので「地元だから」とか「大学時代過ごした場所だから」って感じの基準で選べます。

つまり、興味のある業界や職種があっても、多くの企業の選択肢の中から自分にベストな就職先を見つける自信がない場合は、地方公務員に絞ってしまった方が楽というわけです。

公務員試験への不安から生じる迷い

「選択肢が多い」という意味では民間企業から就職先を選ぶ方が大変でしょう。

しかし、民間企業と違い地方公務員になるには公務員試験に合格する必要があります。民間企業のSPIとは違い、公務員試験の出題範囲は本当に広いため、1年間くらいは勉強する必要があります。

公務員試験の倍率は年々低下してきていますが、お金と時間をかけてしっかり対策している受験者もいます。彼らと競争して合格を勝ち取る必要があるため、多くの受験者は、どれだけ勉強しても合格できるか不安な気持ちでいっぱいになります。

万が一公務員になれなかったときのことを思うと、「最初から民間企業の中から選んだ方が良いのではないか?」という気持ちになりますよね。

「給与の安定性と柔軟性のどちらを優先するか?」という迷い

  • 公務員の給与→安定しているが決して多いわけではない(若い間はむしろ少ない)
  • 民間企業の給与→景気に左右される側面が強く、安定していない場所もあるが、公務員より高い企業がたくさんある

上記は世間一般の認識として浸透してきているのではないでしょうか。

つまり、この認識を持った就活生が給与の「安定性」と「柔軟性」を天秤にかけ、どちらをとるかで迷ってしまうというわけです。

よく、公務員のボーナスがメディアで取り上げられていますが、あれは公務員の平均額であって、中央値ではありません。つまり、幹部クラスの職員のボーナスが大きく値を上昇させていますので、若い人のボーナスはイメージほど多くはないです。

地方公務員か民間企業かで迷った時の選び方の基準を解説

迷いポイントを紹介しましたが、ぶっちゃけ、「地方公務員か民間企業か?」で迷ったときの判断基準はそこまで多くありません。重要な選び方の基準は次のとおりです。

地方公務員か民間企業かを選ぶ上で重要な基準
  1. それなりにプライベートを犠牲にできるかどうか
  2. 市場価値を高めたいかどうか
  3. 引越の伴う転勤を受け入れられるかどうか

それなりにプライベートを犠牲にできるかどうか

あまりプライベートを犠牲にしたくないなら民間企業から探す

それなりにプライベートを犠牲にできなければ、地方公務員はオススメできません。地方公務員は職務の性質上、残業時間、休日出勤はそれなりにあるからです(労働者のために法律である「労働基準法」も適用外だということを知っていましたか?)。

もちろん、地方公務員の仕事すべてが当てはまるわけではありません。しかし、担当の仕事は自分で決めることはできません。また、部署異動の希望は基本通らないことや、昨今の様々な行政サービスの複雑化などを踏まえると、今後はもっと残業は休日出勤は増えていくと思います。

もちろん、地方公務員よりもプライベートを確保できない民間企業もありますが、確保できる民間企業もあります。つまり、自分でプライベートを確保できる民間企業を選べばよいのです。プライベートをある程度確保したいと考えている人は、残業や休日出勤が少ない民間企業から探しましょう。

市場価値を高めたいかどうか

市場価値を高めたいなら民間企業から探しましょう

市場価値を高めたいなら、必ず民間企業から探しましょう。民間企業で使える実務能力は、企業で働かない限り身につきません。

逆に、地方公務員として働く実務能力は、地方公務員でしか身につきません。しかし、地方公務員は市場の中で競争をするわけではないため、市場価値の成長は期待できません。

また、市場価値の成長が期待できないということは、民間企業への転職を視野に入れる場合はかなり不利になります

ちなみに私の場合は、幸い学生時代に会計を専攻し日商簿記2級の資格を取得していたため、経理未経験でも比較的スムーズに転職することができました。

引越の伴う転勤を受け入れられるかどうか

引越の伴う転勤を受け入れられないなら地方公務員の方が安全です。

将来的に引越しを避けたい場合は、地方公務員を選んだ方が安全です。民間企業でも転勤がないところもありますが、そのような企業は規模が小さい傾向があり、比較的、労働条件などの待遇が地方公務員よりも悪くなってしまう可能性が高いです。

例えば、大企業になるほど、給与等の労働条件は良くなる一方で、全国や海外に拠点を構えている傾向が強くなりますよね。つまり、転勤がない企業は規模が小さく、その他の労働条件を良くする余力のない企業である可能性が高いということです。

ちなみに規模が大きい会社は都会に本社が置かれている傾向が強いです。よく待遇面で「都会なら民間企業、地方なら公務員」と基準を設ける人がいますが、それは都会と地方で企業規模や待遇に差があり、その中間に存在するのが公務員という構造が成立しているからです。

給与もある程度確保できて、引越しの伴う転勤がない職場に就きたいのであれば、地方公務員はかなりオススメです。

上記以外の基準はそこまで重要ではありません。

  • 安定しているから地方公務員→規模が大きい民間企業の給与体系は柔軟性だけでなく安定性もあります
  • やりたいことがないから地方公務員 →やりたいことが見つかって就職している人はそんなにいません
  • 事務職が良いから地方公務員 →地方公務員は実質的に事務職以外もやらないといけません

【参考】私の地方公務員時代と今の民間企業との比較

私の経験談なので地方公務員の行政職大企業の経理職の比較という前提で説明します。

給与について

地方公務員時代、現在の民間企業、どちらも経験年数が長くなるほど昇給していく年功序列がベースの給与体系でした。

民間企業の方が公務員時代よりも昇給が早く、給料が増えるのも早い体系になっています(転職時も年収は少しだけ増えました)。ただし、ある程度の昇給すれば、昇格考査があり、そこで昇格するためには考査で審査員から合格をもらう必要があります。

一方、地方公務員時代は、おそらくそのまま働いていけば、年齢とともに自動的に昇給していったであろうと思われるため、その意味では地方公務員の方が気楽かもしれません。

福利厚生制度について

福利厚生とは、会社で働く従業員とその家族の幸福を充実させるために設けられた制度や施設のことです。

福利厚生については、地方公務員時代、現在、それぞれ次のようなものがありました(すべて利用していたわけではなく、パット思いついたものをあげています)。

地方公務員時代

  • 健康保険、厚生年金保険、労災保険などの社会保険に加入
  • 年次有給休暇や特別休暇、育児休業などの休暇制度
  • 退職金制度
  • 住宅手当、家族手当、通勤手当
  • 社員旅行、スポーツ大会、文化祭などのイベント
  • 公的施設の利用無料券
  • 各種研修制度

現職の民間企業

  • 健康保険、厚生年金保険、労災保険などの社会保険に加入
  • 年次有給休暇や特別休暇、育児休業などの休暇制度
  • 退職金制度
  • 社宅、家族手当、通勤手当
  • 自己研鑽費用の一部補助
  • 対象製品の購入のキャッシュバック
  • 各種研修制度

両者に大きな差はありませんが、下記のとおりいくつか実際に勤めていて感じた点をまとめてみました。

  • 男性にとっては、育児休暇は地方公務員の方が利用しやすく、期間も長くとれる
  • 地方公務員の場合、年次有給休暇の付与日数は多いが、仕事の性質上あまり消化できない人が多い
  • 社会保険料の個人負担割合について、地方公務員時代は職場と折半だったが、わたしが勤務している民間企業は自己負担は4割弱とかなり安い
  • 民間企業の場合、研修があることで仕事の幅が増え、昇給も早くなるが、地方公務員の場合、研修を受けて仕事ができるようになったところで、昇給のペースは変わらない

個人的な感想としては、地方公務員は制度は多いものの、実質あっても使えないといった印象が強いです。一般的に公務員の福利厚生は手厚いと言われていますが、それは民間の平均水準と比べた場合の話で、規模の大きい企業であれば、地方公務員よりも使える福利厚生制度が整っていると思います。

ノルマについて

地方公務員時代、現在の民間企業、ともにノルマはありませんでした。

ノルマが課せられるのは、基本的には売上を直接あげる営業部門のような部署で仕事をする場合がほとんどだと思います。

私は経理部で働いているため、そもそもノルマというものはありません。

引越しが伴う転勤の有無について

地方公務員は、基本的には引越しが伴う転勤はありませんでした(ごくまれに、2年~3年の間転勤となるケースもあるようでしたが、先輩も必ず元の勤務地へ戻っていたと思います)。

一方で、わたしが現在勤務している民間企業は全国転勤があります。もちろん、これは民間企業だから必ず全国転勤があるというわけではありません。

逆に、公務員の場合であったも、国家公務員は当然、引越しが伴う転勤は普通にありますし、逆に転勤がない民間企業もたくさんあるため、引越しの伴う転勤の有無については、職場によるとしか言えないでしょう。

ただ、転職活動時に思ったこととして、専門性の高い仕事、ずっと同じ職種で働きたいという場合は、基本的に転勤が伴うケースが多いと個人的には感じました。

もちろん、転勤の有無以外の条件を気にしないのであれば、民間企業でも全然問題ないと思います。

安定性

地方公務員の安定性についてはやはりピカイチで、基本的に給料の金額が大きく変動したり、組織がつぶれるといった心配はほとんどないと思います。

ただ、民間企業が安定していないかと言えば、そんなこともなく、わたしが現在勤務している職場も給与体系がしっかり整備されているので、業績によって給料が大きく変わるということはありません。

もちろん、民間企業は会社が稼がないと生き残れないという構造なので、つぶれる可能性は多少あるということを念頭に置いておく必要はあるかと思います。

個人的には、給与は今の方が多く、むしろ生活は楽になったので結果的によかったと思っています。

【最後に】それでも地方公務員か民間企業かで迷ったら…

本記事で紹介した基準はわたしの個人的な経験に基づいているため、必ずしも正しいとは限りません。参考程度にしていただければ幸いです。

本記事を読んだけど、やっぱり決められないよという場合は、規模の大きい大企業に行くことを強くオススメします!大企業と聞くと難しいと思われるかもしれませんが、中小企業やベンチャーよりも採用に余力があるため、意外と入りやすかったりします。

また、大企業は勤務体系がしっかり整備されているため、公務員に似たような安定性や福利厚生制度は十分備わっています。間接部門に配属されれば、それこそ地方公務員の世間一般的なイメージに近い働き方だと思います。なので、もし、職種での採用枠があるなら、それにエントリーするのもアリだと思います。

是非、参考にしてみてくださいね。

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