社会人経験を活かす公務員転職ガイド:初心者でも理解できる具体的な方法と対策
公務員試験って大変そう…。筆記試験の科目って全部勉強する必要があるの?っていうかそもそも受験資格を満たしているのかな?
公務員への転職を考えてはいるものの、受験フローがイメージできなくて、なかなか転職に踏み切れない人も多いのではないでしょうか。もしくは、公務員試験の勉強に充てる時間がなかなかとれない人も多いのではないでしょうか。
受験フローについては希望する官公庁のHPをみれば一式書いてありますが、受験区分とかも多かったりして、自分がどの区分で受験すればいいのか分かりにくいところもありますよね。
この記事では、社会人が公務員への転職を成功させるために、受験フローや試験対策の具体的なポイントを解説します。
わたしは新卒で地方公務員に就職したので、受験フローは一通り経験しています。また、実際に公務員として働き、人事がどのような人材を求めているのかもある程度分かっているので、建設的なアドバイスができると思います。
公務員の魅力
本記事をご覧の方は、すでに公務員の魅力に惹かれて公務員への転職を考えたという方もいるのではないでしょうか。
公務員は以下のようなメリットがあります。
- 雇用と給与の安定性が高く、組織は基本的につぶれない
- 社会的貢献度が高く、規模が大きい仕事ができる
- キャリアの安定性が高く、基本的に年齢とともに昇進する
- 公的年金制度や福利厚生が充実している
上記のメリットは、公務員特有のものではありませんが、このようなメリットを重要視するのであれば、公務員へ転職することは選択肢として持っておくべきだと思います。
公務員の仕事内容について
公務員の仕事内容について、簡単に説明します。
仕事内容: 公務員の仕事内容は多岐に渡りますが、以下に一般的な仕事内容をいくつか挙げます。
- 行政業務:国や地方自治体の行政業務を担当します。例えば、予算編成や税務管理、福祉施策の運営、都市計画の策定などがあります。
- 法律・政策の遂行:法律や政策の遂行・執行を担当します。例えば、法務業務や行政手続きの管理、規制の監査・指導などがあります。
- 公共サービスの提供:公共サービスの提供を担当します。例えば、保健衛生業務、教育業務、警察業務、消防業務などがあります。
- 監査・査察:公務員同士の監査や査察を行います。例えば、財務監査や労働監査、品質管理の査察などがあります。
社会人が受験可能な2つの試験種について
公務員転職の方法として、一般採用枠と民間経験者採用(社会人採用)枠があります。
一般採用枠について
一般採用枠は、公務員としての経験や知識を持たない方でも受験することができる方法です。ただし、一般採用枠はさらに高卒程度、短大卒程度、大卒程度の試験区分に分かれそれぞれ年齢制限があります(年齢制限は自治体や省庁によって微妙に違います)
- 高卒程度→21歳くらい
- 短大卒程度→25歳くらい
- 大卒程度→29歳くらい
一般採用試験は、筆記試験(教養試験や専門試験)や論文試験、面接試験が基本的な試験内容です。事務職と専門職の枠がありますが、事務職が大きな割合を占めています。
民間経験者採用(社会人採用)枠について
一方、民間経験者採用(社会人採用)枠は民間経験者が対象の採用枠です。この試験では、求める職別(事務、技術、心理等)の実務経験や専門知識が重視されます。自治体や省庁にもよりますが、社会人経験が4~7年以上が受験資格となります。
民間経験者採用枠での受験も、一般採用枠と同様に、筆記試験、論文試験、面接試験で構成されているケースが多いです。ただし、一般採用枠の試験に比べて、前職で培った専門知識や基本的な社会人スキルが評価される傾向が強いでしょう。
民間経験者採用枠では、一般採用枠と違い、基本的には年齢制限はありません。
公務員転職の流れと各試験の対策のポイント
社会人から公務員を目指す方に向けて、一般的受験フローを紹介します。こちらも自治体や省庁によって異なる場合がありますので、参考程度にしてください。詳細は各官公庁のHPで確認できます。
以下、一般的な受験フローを詳しく説明していきます。
- ステップ1: 受験資格の確認
- ステップ2: 出願書類の準備
- ステップ3: 筆記試験の対策
- ステップ4: 論文試験の対策
- ステップ5:面接試験の準備
ステップ1: 受験資格の確認
最初に一般採用枠と民間経験者採用枠それぞれの受験資格を確認します。
基本的には、社会人経験が短い場合は民間経験者採用枠の受験資格を満たさない可能性があります(通常は3年以上の社会人経験が必要です)。
民間経験者採用枠の受験資格を満たさない場合は、一般採用枠で受験する必要があります。
ただし、先ほど年齢制限について説明しましたが、高卒や短大卒での一般採用枠は、年齢制限で引っかかる人も多いと思います。その場合は、基本的には民間経験者採用枠の受験資格を満たすまで今の仕事を続ける必要があるでしょう。
詳細な要件や応募資格を自治体や省庁の公式ウェブサイトや案内を確認しましょう。
ステップ2: 出願書類の準備
公務員試験には出願書類が必要です。一般的には、履歴書や志望動機書、成績証明書、卒業証明書などが提出されます。
ステップ3: 筆記試験の対策
民間企業の選好フローと最も異なるフローがこの筆記試験です。筆記試験は一般的に教養択一試験と専門択一試験に分かれます。
教養択一試験は学生時代の教育カリキュラムにも含まれているような科目(国語、英語、社会、理科等)から出題され、幅広い分野を抑えておく必要があります。
一方、専門択一試験は、一般採用枠の場合は法律と経済が主な分野です。
民間経験者採用枠の場合、教養分野は一般採用枠と大差ありませんが、専門分野は受験する職種の分野から主に出題されます。
筆記試験のポイント
ポイント1
受験する官公庁の試験要領などを調査し、出題科目を事前に調べることが重要です。出題されない科目まで勉強するのは時間の無駄です。
ポイント2
教養択一試験の対策は、受験する官公庁の出題傾向をリサーチして、出題傾向の高い分野に絞って勉強するようにしましょう。分野が非常に広いため、全てを完璧にするのは非効率です。
ポイント3
専門択一試験も基本的には過去問の調査が必要です。ただし、教養択一試験よりも深い理解が求められるので、詰めを甘くせず分からない問題は解くことができるまでひたすら繰り返しましょう。
ポイント4
教養択一試験で時事問題が出題される場合があります。ニュース等で大きく取り上げられているトピックに関する問題が出題される可能性が高いので、その点も踏まえておくと良いでしょう。
ステップ4: 論文試験の対策
一部の官公庁では論文試験があり、筆記試験と同じ日か、筆記試験を合格した受験者のみを対象にして別日に実施されるパターンがあります。
指定されたテーマに基づいて論文を執筆し、課題に対する提案や考察を行います。論文試験は、主に一般論文試験と専門論文試験があります。どちらを実施しているかは受験希望の官公庁のHPで確認しましょう。
論文試験の対策方法も、筆記試験と同様に過去の出題傾向をしっかり抑えて対策をすることが重要です。一般論文試験の場合は、タイムリーな時事問題に焦点を充ててテーマ設定がされるケースもあります。
論文試験のポイント
ポイント1
論文の構成と論理展開 論文は序論、本論、結論の構成が一般的です。論理的な展開と自身の主張を明確に伝えるために、段落ごとのまとまりや論点の整理に注意しましょう。
ポイント2
ポイントとしては、あまりとがった意見や斬新なアイデアを書かないようにしてください。論文試験には論理的思考力や説明力をみるといった目的があり、個性をみるためのものではありません。
ポイント3
論文試験はある程度、想定解があるため、「このテーマはいったいどのような回答をもとめているのだろう?」ということを考えて回答するようにしましょう。
ステップ5:面接試験の準備
民間企業に就職する際の面接と同じく、公務員試験でも面接試験が実施され、面接に臨む前に事前の準備が必要になります。面接の形式は個別面接が多いですが、グループ面接のほか独自の形式で実施している場所もあります。
また、官公庁によっては、筆記試験よりも面接試験の評価にウエイトを置いている場所もあります。事前の対策なしで面接に挑むと、せっかく時間をかけて合格したこれまでの試験が水の泡になってしまいます。
面接試験のポイント
ポイント1
転職の場合「なぜ公務員になろうと思ったのか?」と、「民間企業での経験をどのように活かせるか」のような質問は高確率であります。このような質問に対する応えをしっかり持って臨みましょう。
ポイント2
「聞かれたことに対して、結論から応える」ということを意識しましょう。最初に、一言で結論を述べ、その後、理由や具体例を述べるようにするのが分かりやすい説明のために重要です。
ポイント3
公務員は世間の目が厳しい仕事です。身だしなみや挨拶といった基本的なマナーもしっかり評価されますので、事前に整えて面接に挑みましょう。
ポイント4
論文試験のポイントでもお伝えしましたが、公務員に求められるのは個性ではありません。そのため、月並みな回答でも良いので、しっかり聞かれたことに対して応じて会話のキャッチボールをすることが重要です。わたしの経験上、公務員は他の職よりもコミュニケーション能力が実務においても必要です。
最後に
公務員への転職を考えている方は、なぜ公務員になりたいのかを整理しておくことが、転職で後悔しないために必要です。
公務員の魅力から受験の対策方法まで詳しく説明してきましたが、公務員への転職は民間企業への転職に比べて時間がかかります。本当に公務員でないとダメなのか、再度考えてみることも、転職後に後悔しないためのポイントです。
- 今の仕事に対する悩みが、公務員へ転職することでしか改善・解決できないか?
- あなたがやりたい仕事は、公務員でないとできないか?
本記事では詳しく触れていませんが、公務員にも当然デメリットがあります。しっかり、自分と向き合って、公務員を目指すかどうかは慎重に考えることも重要です。
自分なりにキャリアの目標を明確にして、広い選択肢の中から、ベストな転職先を見つけてくださいね!
ご意見をお聞かせください