公務員への転職は難しい?→長期戦という意味では難しいが全然可能
安定した給料や社会的な信頼が厚い公務員は多くの人があこがれる職業だと思います。
しかし、公務員になるためには公務員試験に合格する必要があり、民間企業に転職することに比べてハードルが高いと感じてしまう人が多いようですね。
- 公務員の事、あまり分かってないけど転職できるのかな
- 公務員の倍率って高そうだから、やっぱり難しそう
- 今から転職するのは遅いかな
本記事では、これらの悩みを抱えた人向けに、元地方公務員の私が、公務員への転職について説明します。
【最初に】社会人が公務員試験を受ける場合の受験枠について
公務員転職の方法として、一般採用枠と民間経験者採用(社会人採用)枠があります。
一般採用枠について
一般採用枠は、新卒採用者と同じ受験区分です。ただし、一般採用枠はさらに高卒程度、短大卒程度、大卒程度の試験区分に分かれそれぞれ年齢制限があります(年齢制限は自治体や省庁によって微妙に違います)。
- 高卒程度→21歳くらい
- 短大卒程度→25歳くらい
- 大卒程度→29歳くらい
一般採用試験は、筆記試験(専門科目と基礎科目)や論文試験、面接試験が基本的な主な試験内容です。
民間経験者採用(社会人採用)枠について
一方、民間経験者採用(社会人採用)枠は民間経験者が対象の採用枠です。この試験では、求める職別(事務、技術、心理等)の実務経験や専門知識が重視されます。自治体や省庁にもよりますが、社会人経験が4~7年以上が受験資格となります。
民間経験者採用枠での受験も、一般採用枠と同様に、筆記試験、論文試験、面接試験で構成されているケースが多いです。ただし、一般採用枠の試験に比べて、前職で培った専門知識や基本的な社会人スキルが評価される傾向が強いでしょう。
民間経験者採用枠では、一般採用枠と違い、基本的には年齢制限はありませんが、募集が少ないため、競争率は高いでしょう。
個人的には、年齢制限を満たす限りは、一般採用枠で受けるのが無難だと思います。
公務員への転職が難しいと言われる理由とは
筆記試験の出題範囲が広い
公務員試験は、出題範囲が広く幅広い知識を求められます。そのため、予備校や参考書に頼るだけでは不十分で、自己学習や情報収集も欠かせません。これによって、合格に必要な知識やスキルを身につけることができます。
競争倍率が激しい
公務員の魅力は、何と言っても安定した給料や社会的信頼性が高いという点でしょう。これらに魅力を感じて公務員を目指す人は多いため、他の志望者と競争することになります。
選考フローが長い
個人的には、公務員への転職が難しいと言われる最大の理由は、民間企業と比べて長期戦になるというところにあると思っています。
公務員になるためには、筆記試験、論文試験、面接試験に合格する必要がありますが、特に筆記試験の対策には時間がかかります。
国家公務員を目指す場合は、試験とは別で採用面接があります(公務員試験の面接は試験を運営している人事院が行っている面接です)。
つまり国家公務員の場合、試験合格=内定ではなく、試験に合格して初めて官庁訪問をする権利を与えられるということです。
地方公務員の場合は、基本的に試験合格=内定と考えて問題ありません。
それでも公務員への転職は可能と言える根拠
大前提として、「転職すること」は大変なことです。これは公務員への転職に限った話ではありません。しかし、普通に準備して転職活動をしっかりすれば、今の時代、転職自体は全く難しい話ではありません。
公務員の場合は、民間企業との選考フローが少し違うってだけです。可能と言える根拠は次のとおりです。
- 筆記試験はボーダーラインを得点できれば問題ない
- 見た目の倍率は高いが、多くの受験者は併願のため、実質倍率はそこまで高くない
- 特殊な能力が必要というわけではない
筆記試験はボーダーラインを得点できれば問題ない
筆記試験は本当に広い範囲から出題されますが、合格ラインは約6割から7割です。なので、別に完璧を求めなくても大丈夫です。というか、完璧にやろうとする人は、まずいません。
筆記試験の出題分野は、かなりざっくり言うと、専門科目(法律・経済など)と基礎科目(数的処理と学生時代の科目中心)って感じです。これはどの官公庁も基本的に同じです。
合格ラインを越えるためには、専門科目と基礎科目の数的処理はしっかり勉強する必要がありますが、それ以外は出題傾向が低い分野や自分が苦手な分野を捨てても、合格ラインを越えることは普通にできるようになっています。
数的処理は民間企業のSPIみたいなものですが、結構難しい上、問題数も多いので対策が必要です。その他の基礎科目はざっくり言うと、高校までに習った科目です。私は文系だったので、物理や化学は捨てましたね。
専門科目については、大学で法律や経済を学んでいない限りは分からないものだらけだと思うので、しっかり勉強しておかないと、ボーダーラインを越えることが厳しくなってきます。
結論としては、専門科目と基礎科目の数的処理はしっかりやって、その他は過去の出題傾向や自分の得意科目との相談って感じになります。
その結果6~7割とれれば良いと考えると、「絶対無理!」って感じにはなりません。
見た目の倍率は高いが、多くの受験者は併願のため、実質倍率はそこまで高くない
全員を採用するわけにはいかないので、当然、採用枠の定員は設定されているでしょう。しかし、同じ公務員志望でも、ほとんどの受験者は併願しているため、見た目より倍率は低くなっています。
実は、公務員といってもいろいろあり、試験日程が重ならなければいくつ受けても問題ないのです。
私は県庁、市役所、国家一般職、国家総合職、裁判所事務官、国税専門官、国立大学法人をすべて受験しました。
一般採用枠の場合、筆記試験は国家公務員試験の対策をしておくと、その他の公務員試験もほとんど対応することができます。
特殊な能力が必要というわけではない
民間企業は、即戦力となるスキルを持った人を優先的に採用する傾向がありますが、公務員の場合は必ずしもそうではありません。
まあ、必要だとすれば、学習能力やコミュニケーション能力ですかね。これは筆記試験や面接試験で評価されますが、特殊なスキルではありませんよね。
もちろん、技師や心理など、専門職を受験する場合は、その分野に関わる知識や経験が当然必要です。しかし、事務職の場合はそんなことはありません。
公務員試験は、民間企業の採用に比べて「公平性が高い」と良く言われます。頑張った人が報われやすい選考フローになっているというわけですね。
公務員転職成功のためのポイントとは
- 併願する
- 最初に受験する試験の出題科目・傾向を確認する
- 長期戦になるため、健康に気をつける
併願する
「公務員試験」と言っても、実はいろいろあります。何でもいいからとりあえず公務員になりたいという場合は、日程が重ならない試験はすべて受けることがポイントです。
基本的に公務員試験は土日開催の所が多いので、そこまで難しくないはずです。
また、「併願なんてしたら勉強が追いつかない」と思う人もいるかもしれませんが、ぶっちゃけ、どの試験も骨格はほとんど一緒なので、自分が行きたいところの勉強を中心にしていれば、意外とどこでも対応できたりするのです。
私の感覚としては、国家一般職の試験対策をしておくと、ある程度どの試験でも対応できると思います。
ただし、専門性が高い公務員(国税、財務局、労働基準監督署など)は、会計学など、他の試験では課されないような科目も出る場合があるため、必ず確認してください。
最初に受験する試験の出題科目・傾向を確認する
公務員試験の出題範囲は非常に広いため、全てを隅々まで勉強しようとすると、間違いなく時間が足りません。必ず勉強を始める前に、自分が受験する場所の出題科目や傾向を抑えておくことが必須です。可能であれば過去問も見てください。
先述のとおり、基本的には法律や経済といった専門科目を重点的に勉強し、基礎試験は学生時代に自分が得意だった科目を勉強し直すと良いでしょう。
例えば、基礎能力試験の科目に「物理」がありますが、私の時は、40門中1~2問しか出されませんでした。学生時代に物理を習っていない場合、一から物理を勉強して、この1~2問を取りに行くのは非効率ですよね。
「勉強した科目で間違えるリスクもあるんじゃないの?」って思う人もいるかもしれないですが、基礎科目はマニアックな問題は出ないので、全部の科目を浅くやるより、落としたらいけない問題をしっかりとるってイメージが大事です。
長期戦になるため、健康に気をつける
公務員への転職で最も失敗しやすい原因が、「途中であきらめる」というものです。
公務員の選好フローは民間企業に比べて長期戦になります。そのため、健康的な生活やモチベーションの維持が非常に重要になってきます。
実際、公務員転職で失敗するのは、「全部不合格」ということよりも、「勉強が続かず自信を失いあきらめる」といったケースの方が多いです。
なので、しっかり食事や睡眠に気を使いながら、試験合格に向けて勉強することが重要です。
モチベーションを保つためのアドバイス
繰り返しになりますが、公務員への転職は長期戦になります。実際に内定をもらうまで、モチベーションを維持し、挫折しないことが最も重要といっても過言ではありません。
- なぜ公務員になりたいのかを初心に立ち返って考える
- あまり先のことを気にせず、今日できることを着実にする
- しっかり息抜きする
しっかり、転職のスケジュールを立てて、1日1日を大事にして対策することが重要です。
本気で転職を目指す場合、不安もあるとは思いますが、普通に対策すれば公務員への転職は普通に可能ですので、是非、前向きに取り組んでみてくださいね。
ご意見をお聞かせください