公務員か民間企業か?大学生のための進路選択のヒント
公務員をこのまま目指しても良いか不安…。でも試験勉強だけはしておかないと。
大学生の皆さん、公務員か民間企業かの選択で悩んでいませんか?
公務員を目指す場合、試験勉強のための学費や時間が必要になります。でも、民間企業に行きたい気持ちもある場合、試験勉強に充てた学費や時間が無駄になってしまうのではないかと感じる人もいますよね。
この記事では、公務員試験の勉強を始める前の大学生を対象に、より正しい選択を後押しするために
- 公務員と民間企業それぞれのメリットとデメリット
- 選択の基準と自己分析の重要性
について説明します。
わたしは、元県庁職員でしたが、現在は民間企業で働いています。公務員と民間企業両方の経験から具体的なアドバイスができると思うので、選択に迷っている人は、是非、最後まで読んでみてください
公務員のメリットとデメリット
最初に公務員のメリットとデメリットから紹介します。元県庁職員のわたしの意見もとりいれながら説明します。
公務員のメリット
公務員って人気な職業ランキングで常に上位にいますよね。
公務員を目指す人々が多い理由は、社会への貢献度が高く、安定性と安心感があるからです。
具体的に説明していきます。
雇用と給与の安定性が高い
公務員は一般的に安定した雇用を提供します。政府や自治体の予算に基づいて給与が支払われ、経済の変動や企業のリストラなどの影響を受けにくい傾向があります。
これにより、公務員は経済的な安定性を享受することができます。経済的な安定性がある公務員は、クレジットカードやローンの審査も比較的簡単に通ります。
社会的貢献度が高い
公務員の仕事は、社会貢献度が高いです。法律の執行や公平なルールの維持、公共サービスの提供など、広い範囲で社会の発展と公共の利益に貢献する役割を果たしています。公務員として働くことで、社会的な意義や使命感を感じることができるでしょう。
基本的に、公務員の仕事は市や県、国を管轄範囲としているため仕事の規模がとても大きいです。そのため、規模が大きい仕事をしたい人にもオススメの職業と言えるでしょう。
キャリアの安定性が高い
公務員職は、昇進やキャリアの安定性の面でも魅力的です。公務員は一定の経験に基づいて昇進することができ、キャリアパスが明確に設定されています。
ただし、公務員としてのキャリアを築いていきたい場合は問題ありませんが、民間企業へのキャリアチェンジは比較的難しくなってしまうということを念頭においておく必要があるでしょう。
公的年金制度と福利厚生
公務員は一般的に公的年金制度や福利厚生が充実しています。公務員としての勤続年数に応じて、将来の年金を受け取ることができます。また、健康保険や各種手当、休暇制度なども整っており、労働者としての保護が確保されています。
わたしは男性ですが、女性の職員は「産休・育休制度」に魅力を感じる人が多かった印象です。公務員の場合、多くの民間企業よりも長期間にわたり産休・育休を取得することができます。また、その期間の給料もしっかり支払われるので、安心して子育てに集中することができます。
公務員のデメリット
公務員職には魅力がありますが、公務員の道を選択する前に考慮すべきデメリットもあります。
以下に、公務員のデメリットを大学生向けにいくつかご紹介します。
給与とボーナスの制約
公務員の給与が民間企業の平均に追いつくのは、一般的に40歳前後と言われています。つまり、若い間は民間企業に比べて相対的に給与が低いです。
また、先ほどお伝えしたとおり、公務員の給与は政府や自治体の予算から出るため、経済の変動の影響を受けにくいですが、それは、景気が良くなったとしても、給与の増加は限定的であることを意味し、自身のスキルや実績によって給与を大幅に増やすことも難しいということです。
生活費などは十分まかなえますが、制限なくお金を稼ぎたい人にとっては公務員はおすすめできないでしょう。
制約された業務の範囲
公務員の業務は法律や規則に制約される側面がとても強いです。また、公的機関という組織上、職員の意見よりも、専門家や上部組織(政府等)の意見が尊重されます。
そのため、自由な発想や創造性の発揮が難しく、どれだけ良いアイデアであっても、それが違法であったり、専門家の意見とは相反する場合は、意見を反映してもらうことが難しいでしょう。
創造性が高い人や、自由なアイデアを基に仕事がしたい人にとっては、公務員は能力を活かすことができない可能性が高い職業と言えます。
官僚組織の特徴
公務員は官僚組織の一員として働くため、独特の組織文化やヒエラルキーが存在します。
意思決定のプロセスが複雑で時間がかかる場合があるため、スピード感や柔軟性を求める人にとってはストレスを感じることがあるかもしれません。
分かりやすい例として、単なる手続きの変更で、条例などを改正する必要があるといったケースです。
例えば、何かの申請手続きを条例によって定めている場合は、たとえそれが手続きの申請書類の様式を変更するだけであっても、条例の改正が必要なので、議会に議案として提出し、議員の承認を得る必要があります。
議案を提出するということは、実務面で大量の手続きが発生し、いつも忙しくしている上司や幹部職員を巻き込むことになります。
下っ端だけでは制度の変更に踏み切れない仕組みになっていることに加えて、上司が業務に追われすぎているというのが、公務員の意思決定が遅い一番の理由だと個人的には思っています。
副業ができない
公務員には副業が法律で制限されており、追加の収入を得ることができず、収入面での柔軟性が制限されます。副業に関心がある場合や将来の収入増加を考える場合には、公務員を目指すより副業が可能な民間企業を選ぶべきでしょう。
先ほどもお伝えした通り、公務員は生活費に困ることはないですが、給与が低い若いうちは、金銭面の制約を受けて思うように行動できない可能性があります。
わたし自身、若い間にお金を使ってもっと自己投資したり遊んだりもしたかったので、公務員時代は給与に満足していませんでした。そのため、副業ができないことに対して、もどかしい気持ちでいっぱいでした。
社会人になってみると、学生までとは違い仕事を通して多くの世界を知りお金の使い道も増えるので、給与の安定性よりも「稼ぎたい!」という気持ちになる人は多いと思います。
その辺もしっかり踏まえて、職業選択をすることも重要でしょう。
民間企業のメリットとデメリット
次に民家企業のメリットとデメリットについて紹介します。
民間企業の場合は、公務員よりも選択肢が幅広く、企業によっては当てはまらない可能性もありますので、あくまで一般的に言われているものという前提で読んでみてください。
民間企業のメリット
民間企業は多様な業界や職種があり、選択肢が多く幅広いキャリアパスを描くことができる点が大きな魅力と言えます。
具体的に説明していきます。
成長とチャレンジの機会が多い
民間企業は市場の変動や競争の中で成長する機会があります。急速に変化するビジネス環境においては、自身の能力やアイデアを活かし、新たなチャレンジに取り組むことができます。
また、多様な業界や職種への参入が可能であり、自身の興味や適性に合わせたキャリアを築くことができます。
民間企業は公務員と違い、キャリアアップ目的で転職をすることもできます。ある分野でスキルを磨き実績を積めば、転職を通して年収をアップさせる選択も可能です。
成長願望が高い人は、民間企業の中から就職先を探す方が良いでしょう。
早い段階での年収アップが期待できる
民間企業では、成果に応じた報酬やキャリアの成長に直結する給与体系になっている場所が多いです。自身の能力や成果に応じて報酬や評価が上昇するため、高いモチベーションで働くことができるでしょう。
一般的には成果主義を取り入れている企業が多いですが、公務員のように、年齢が上がれば自動的に給与が上がるようなところもあります。
そのため、成果主義が嫌だからと言って、民間企業に行く選択を捨てるのはもったいです。民間企業は公務員と違い、本当に多くの業種や職種がありますので、自身にとってベストな職業を選択したうえ、そのような給与体系のところに行けば、文句なしの就職先が見つかります。
働き方の柔軟性が高い
民間企業では、柔軟な働き方や自己実現の機会が広がっています。時短勤務やリモートワークなど、働き方の選択肢が多く、ワークライフバランスを実現することが可能です。また、自身のアイデアやイノベーションを実現するためのプロジェクトや起業のチャンスもあります。
いざというときのビジネススキルがつく
ビジネススキルは民間企業ではないと身につきません。そのため、副業など個人での収入源をつくりたい場合、民間企業での経験がとても役に立ちます。民間企業の目的は利益の獲得なので、お金稼ぎをするという意味では個人でやる副業と本質的に同じだからです。
もちろん、個人の収入源だけで生活ができるのであれば、自分で起業してサラリーマンを辞めるという選択もできます。
また、先ほどもお伝えした通りで、公務員の場合は副業すらできません。しかし、民間企業の場合は、副業が法律で禁止されていないため、副業OKなところに行けば、複数の収入源を確保したり、自身でお金を稼ぐためのスキルを身につけることができる可能性があります。
民間企業のデメリット
選択肢が多く就職先選びが難しい
民間企業のデメリットの一つは、多くの選択肢が存在することによる就職先の選びにくさです。現代のビジネス環境は多様化し、様々な業種や職種が存在します。
特に新卒学生の場合は、社会人経験すらないため、どの分野に進むか、どの企業に応募するかといった選択が難しいと思います。
就職活動においては、自身の専攻や能力に合致する企業を見つけることも重要です。しかし、さまざまな業種や職種があるため、自身の興味や適性に合った分野を見つけることは決して容易ではありません。
将来のビジョンやキャリア目標を明確にし、それに合った企業を選ぶことが求められますが、選択肢が多すぎるため、迷いや混乱を招くことも少なくないでしょう。
情報収集や自己分析をしっかりと行い、自身の適性や志向に合致する企業を見つけ出すことが、就職先選びの難しさを克服するポイントとなります。
不安定な雇用とリストラのリスク
民間企業には情勢や競争の激化により、企業の業績の悪化から不安定な雇用状況にさらされてしまうリスクがあります。そのため、公務員とは違い、自分の意思に反する形で仕事を辞めざるを得ない可能性があることは抑えておく必要があるでしょう。
ただし、個人的には、大学生のが就職選びをするときは、リストラのリスク等を過度に心配して就職先を決める必要はないと思っています。若い間はリスクをとることも大事で、いざとなれば転職するなどして、いくらでも軌道修正できるからです。
しっかり自分の興味・関心や仕事に求めることを基準とし、幅広い選択肢を持って職業選びをすることの方が大事です。
高い競争と厳しい評価
民間企業では求職者の数が多く、競争が激しいです。優れたスキルや経験を持つ人材が求められるため、就職活動やキャリアの中で自身の能力をアピールする必要があります。また、民間企業では成果やパフォーマンスに基づいた評価が行われることが多く、自身の業績や成果によって昇進や報酬の差が生じることも考慮しなければなりません。
仕事の単調さやモチベーションの低下
一部の民間企業では、業務の単調さやモチベーションの低下が課題となる場合があります。特定の業務に専念することが求められ、自身の能力や興味に合った業務に携わる機会が限られることもあります。自身のやりがいや成長を感じるために、企業の文化や業務内容についてよく調査し、自身の目標と合致する企業を選ぶことが重要です。
転勤について
就職先を選ぶ際、多くの方は転勤の有無を考えると思います。わたしの経験上、規模の大きい組織ほど、引越しの伴う転勤がある可能性が高いです。
公務員の場合は、地方公務員は引越しが伴う転勤はほとんどありませんが、国家公務員の場合、管轄が県をまたぐため、引越しが必要になるケースが多いでしょう。
民間企業の場合も、全国に展開している企業は当然、引越しの伴う転勤があります。
個人的には、引越しの伴う転勤がどうしても嫌な場合は、地方公務員を選択肢に入れるべきかと思います。民間企業の場合は、転勤がなく、その他の待遇も良いという場所はかなり競争率が高いでしょう。
転職活動を経験したわたしの感覚としては、全国転勤を受け入れれば、その他の待遇が一気によくなる傾向があるため、参考程度に覚えておくと良いでしょう。
選択基準と自己分析
公務員と民間企業の選択は、大学生にとって重要な人生の岐路となります。どちらの職種が自分に合っているのかを見極めるために、以下の選択基準と自己評価の観点を考慮することが重要です。
目標と価値観
まず、自分の目標や価値観を明確にしましょう。公務員は社会に貢献する仕事や公平なルールの維持を重視する方に向いています。一方、民間企業ではビジネスの成果やイノベーションに貢献することが求められます。自分がどちらに共感し、情熱を持てるのかを考えてみてください。
安定性とリスク管理
公務員は一般的に安定した雇用と安心感を提供します。経済の変動や企業のリストラなどによるリスクを最小限に抑えたい場合は、公務員職が適しているかもしれません。
一方、民間企業は市場の変動や競争によるリスクが存在しますが、成果報酬や成長の機会も豊富です。将来の安定性とリスク管理について考えてみてください。
自己成長と挑戦の機会
公務員は安定性がありますが、一部の職種では昇進や昇給のスピードが緩やかな場合もあります。一方、民間企業では自己成長やキャリアの成長に向けたチャンスが多くあります。自己の能力を最大限に発揮し、成果を上げることで昇進や報酬の増加が期待できます。自己成長や挑戦の機会を重視するのであれば、民間企業でのキャリア構築が適しているかもしれません。
ワークライフバランス
公務員は一般的に定時勤務や年次有給休暇など、ワークライフバランスの面でメリットがあります。民間企業は仕事の忙しさや労働時間の長さが職種や企業によって異なります。自分のライフスタイルや家族との時間をどれだけ大切にするのかを考慮してみてください。
これらの選択基準と自己評価の観点を踏まえ、公務員と民間企業の将来性、自己の能力や興味関心に合致するかを考えることが重要です。時間をかけて自己探求をし、アドバイスを求めることもおすすめです。最終的な選択はあなた自身の判断に委ねられています。将来のキャリアパスを見据えて、自信を持って進んでください。
まとめ
公務員と民間企業それぞれのメリットデメリットを本記事で紹介しました。
あなたが思っていた内容と一致していたでしょうか?
実際、公務員と民間企業の両方を経験したわたしの感覚としては、世間一般的なイメージと実態はかなり離れていると思います。
自己評価や将来性を冷静に判断し、どちらの道を選ぶことで自身の才能を最大限に発揮できるのかを検討しましょう。
経験や学びの重要性も忘れずに、選択した道に全力で取り組んでください。将来のキャリアを築くために、自身の魅力を最大限に発揮できる道を選択し、輝かしい未来を切り拓いてください。
ご意見をお聞かせください